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2025/02/25
オーラルフレイルとは?
お口のケアが心と体の
健康につながる
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オーラルフレイルは、「Oral(口腔)」と「Frailty(虚弱・衰弱)」を合わせた造語であり、日本で考案された概念です。近年、フレイルという言葉が医療・介護の現場では浸透してきていますが、一般的にはまだまだ馴染みのない言葉かもしれません。
今回は、オーラルフレイルについて、注目の理由や重要性についてご紹介します。何歳になっても健康でいきいきと過ごしたいとお考えの方は、この機会にオーラルフレイルについて知っておくとよいでしょう。
オーラルフレイルが
注目されている理由
世界的にみても、日本は長寿国として知られています。しかし、大切なのは寿命の長さではなく、年を重ねても健康に生活できる期間の長さであるという考えの「健康寿命」が重要視されているのが昨今の傾向です。口の衰えは、フレイル(体と心の衰え)にも影響することがわかっています。口腔への健康意識を高めてオーラルフレイルを予防することは、健康寿命を延ばすためにも非常に重要なのです。
オーラルフレイルは口の衰えを指しますが、老化による衰えとは少し異なり、社会的・精神的な問題などが合わさって起こる不自然な衰えです。また、フレイルは意識して行動やリハビリをすることで改善ができるため、早めに気付いて対応をとることでより健康に近づきます。そのため、以下のようなささいな口の変化を見逃さないように意識することが大切です。
【オーラルフレイルの始まりの症状】
- 滑舌が悪くなる
- 食べこぼしが増える
- むせやすくなる
- かたい食べ物が噛みづらい
- 口腔内の乾燥
人生100年時代の現代だからこそ、健康に過ごせる時間はとても大切です。長く生きるだけでなく、年を重ねてもQOL(生活の質)を維持・向上させるためにもオーラルフレイル対策は重要だと言えるでしょう。
お口の健康と心身の関係
近年、オーラルフレイルの人には、健康な口腔状態の人と比較すると以下のような健康リスクが潜んでいることがわかっています。
【オーラルフレイルの人が抱える健康リスク】
- 身体的フレイル 2.4倍
- サルコペニア 2.1 倍
- 要介護認定 2.4 倍
- 総死亡リスク 2.1 倍
身体的フレイルは体重減少や活動量低下などの症状がみられ、サルコペニアとは加齢による骨格筋量の低下で身体機能が落ちた状態を指します。このデータからも、オーラルフレイルは体にも大きな影響を与えていることがわかります。
また、若い人でも安心はできません。20代の6~7人に1人の割合でオーラルフレイルの症状がみられるという調査結果があります。「若いから大丈夫」ではなく、ささいな変化にも意識を向けておくことで、口の健康だけでなく心身の健康も守られるのです。
オーラルフレイル対策で
大切なこと
オーラルフレイルを予防して健康でいるためには、どのような対策をとればよいのでしょうか。基本的な予防策として「口の中の清潔保持」「加齢による口腔機能の衰えの維持・改善」があげられます。それぞれの具体策は以下のとおりです。
【口の中の清潔保持のために】
- ブラッシングの回数や方法の見直し
- フロスや歯間ブラシ・マウスウォッシュなどのケアグッズを併用する
- 口腔の状態あった歯磨き粉を選ぶ
- 歯科検診の定期受診
【加齢による口腔機能の衰えの維持・改善のために】
- 口周辺の筋肉をつける口腔体操を行う
- 唾液の分泌を促すための唾液腺マッサージを行う
- 噛む力をつけるためにひと口30回以上噛んで食べる
- 滑舌を良くするために早口言葉の練習をする
口の中を清潔に保つことも、口腔機能の衰えを防ぐことも日々の積み重ねが大切です。詳しい口腔体操の方法などは、日本歯科医師会のホームページにも掲載されています。年を重ねても健康でいきいきと過ごすために、口の健康にも意識を向けてみてはいかがでしょうか。
参考URL:公益社団法人日本歯科医師会|オーラルフレイル対策のための口腔体操