- 歯科医師インタビュー -INTERVIEW
健康な歯と歯ぐきを守るために、
歯科医師からのメッセージを連載しています。
vol.9
【前編】冷たい飲み物が
しみるのは要注意!
歯ぐきが語るあなたの健康
歯ぐきが語るあなたの健康
歯ぐきが語るあなたの健康
青木歯科医院 院長青木 仁
『冷たい飲み物がしみるのはなぜ?』そんな疑問を持ったことはありませんか。 実は、歯ぐきの健康状態が大きく影響しています。今回は、東京都江東区の青木歯科医院、院長の青木仁先生、歯科衛生士の唐澤良子さんに、知覚過敏と歯周病の深い関係、そして日常でできる予防法について伺いました。こちらのページではインタビューの前半部分をご紹介します。
Q1. 歯周病と知覚過敏には
どのような関係があるの
でしょうか?
歯周病が進行すると知覚過敏
が起こる理由について
お教えください。
青木 仁 先生
(以下 青木先生):
いわゆる“歯”の最も外側を覆っているエナメル質は、お口の中にいるたくさんのバイ菌から身を守る鎧のようなものです。そのエナメル質のすぐ下にあるのが象牙質という組織です。象牙質の上部はエナメル質に守られ、下の方つまり根っこの部分は歯を支える歯槽骨やセメント質、歯根膜やその周囲にある歯ぐきに覆われ外部の刺激から守られています。象牙質には象牙細管という細かい管が無数にあり、これが歯の神経や血管につながっています。歯周病で歯槽骨や歯ぐきが下がることにより、象牙質が口の中にむきだしになると、冷たいものや甘いものが象牙細管に触れ、その刺激が神経に伝わり“しみる”や“痛み”という症状を引き起こします。それが知覚過敏と呼ばれているものです。
Q2. 知覚過敏が
歯周病のサインである場合、
どのような初期症状に
気をつければ良いでしょうか?
青木先生:
歯周病はとても緩やかに進行する病気で、かなり悪化しないと症状が出ないのが特徴です。発症のサインとして必ず知覚過敏が起きるということでもありません。少しずつ歯ぐきが下がって象牙質が露出しても唾液などが象牙細管を保護してくれるので、しみない場合も多いのが実情です。歯と歯ぐきの間に細菌が入って、体はその細菌から身を守るために免疫反応として歯ぐきに炎症を起こします。しかし、この炎症が長く続くと、歯ぐきや歯を支える歯槽骨が破壊され、歯周病まで進行してしまいます。初期段階で痛みをほとんど感じないのは、この炎症が体を守るための自然な反応だからです。
患者さん自身が歯周病に気づくためのサインは知覚過敏ではなくブラッシング時の出血でしょう。歯周病の前段階である歯肉炎でも出血が起きることがあります。軽いブラッシングでも出血がある場合、歯肉炎や歯周病の疑いがありますので、早めにケアすることで重症化を防ぐことができます。
「あなたにできる3つのステップ」
1. 正しいケア製品を選んで
自分に合った歯ブラシや歯磨き粉を使い、正しい磨き方を習得しましょう。
2. 毎日のケアを習慣に
歯周病の予防には、毎日のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアが重要です。
3. 定期的な歯科検診を
定期的な歯科検診で、早期発見と適切な治療・予防を心掛けましょう。
Q3. 歯周病や知覚過敏の予防に
役立つ
日常的なケア方法に
ついて、具体的なアドバイスを
いただけますか?
歯科衛生士 唐澤 良子さん:
「45度に当てて」「強く磨きすぎない」「歯と歯の間に毛先を当てる」など色々なブラッシング方法をご存じの方は多いと思います。ただ人によりお口の中の形が違うため“正しいはず”の方法で磨いているのに汚れが落ちていないという人も多くいらっしゃいます。汚れが溜まりやすい位置や、ブラシが当たりづらい箇所など人によって違うため、その方の歯並びに合わせて当てる角度も変えていかなければなりません。ブラッシング圧についても同様です。優しく当てて磨いているつもりでも、頬や舌の力で圧が強くかかってしまう箇所もあります。
ご自身のお口の状態や特徴を歯科衛生士さんに教えてもらって“自分に合った正しい方法”で磨いていただきたいです。歯ぐきを守りつつも、きちんと汚れを落とす方法を身に付けていただき「今回も問題ないですよ!」「頑張っていただいていますね!」という検診を毎回繰り返すことが歯科衛生士の願いなんです。
青木先生:
歯並びもそうですが、汚れの付き方はその方の唾液の出方や通り方によっても変わってきます。唾液が良く流れるところには汚れは付きづらく、唾液が通りづらい箇所には汚れが付きやすいのです。汚れが付きやすい箇所を“リスク部位”と呼んでいますが、一般的な共通のリスク部位とは別に、患者さん独自のリスク部位があります。ご自身のリスク部位を歯科衛生士さんと確認しそれにあったケアの方法を実践していただくのが大切だということです。
歯科医師・衛生士紹介
青木歯科医院 院長青木 仁
- 日本大学歯学部を卒業後、江東区・江戸川区の歯科医院に勤務。
- 平成19年:青木歯科医院にて勤務。
- 平成22年:日本歯周病学会認定歯周病専門医を取得。現在に至る。
青木歯科医院 歯科衛生士唐澤 良子
- 平成21年:青木歯科医院にて勤務。
- 歯周病学会認定歯科衛生士、第2種滅菌技士、第二種歯科感染管理者を取得。現在に至る。